本屋を出た瞬間

「ありがとう」

俺の耳の奥で声がした。


それ以上、言葉が聞こえることはなかった。


「次はどこへ行こっか?」

ねだる様な視線に応える返答が見つからない。

「どこにしようね…」

取りあえず、言葉にしておく。水谷さんの好きそうな場所ねぇ…。