えっ…なにこれ…



突然、それまでのいびつな文字とはぜんぜん違って、力強く整った文字が現われた。


驚くのもつかの間、私は無意識にそれを読み始めていた。




笠宮 色ちゃんへ

お久しぶりです。元気ですか?

黒川那徠です。

僕のことも、このノートのことも、覚えてくれてたらうれしいんだけど・・・

あの頃僕はまだ子供で、それまでと変わらない毎日がずっと続くんだと思ってたんだ。

でも卒園式の後、みんなばらばらになって、僕も引っ越してしまったから。

だからこのノートを持ったまま、十年間も経ってしまいました。

この間部屋の整理をしてこのノートを見つけたので、送ります。

いまさら迷惑だったらごめん。

でも、やっぱりこれは色ちゃんに持っててほしいから。

今までありがとう。

じゃあ、元気でね。

黒川那徠