初恋の先で君を愛せたら

家に着くと、お母さんが夕飯の準備をしてた。


この匂いから察すると、たぶんハンバーグ。


私の一番好きなメニュー。

『ただいま』って言ったら、お母さんが予想外のことを言った。

「今日ね、久しぶりに黒川さんから電話があったの」

黒川さん…つまり、那徠のお母さん。


「懐かしいでしょう。思わず長話しちゃった」

お母さんの声は明るかった。


それ以上何も言わないお母さんが、那徠のお母さんと何を話したのかはわからない。


「よかったね」

私は笑顔で一言、そう言った。