初恋の先で君を愛せたら

思う存分アトラクションに乗って空がオレンジ色になりかけたころ、私たちは観覧車に乗った。


「最後のクリスマス会の前の日のこと、覚えてる?」

少しずつ広がっていく風景を見ながら、そう言ってみた。

「うん。覚えてるよ」

「私ね、あのときシンデレラのセリフを言いながら、大きくなったら結婚式は絶対ここでやるんだって決めたの」

クリスマス会の前日、私と那徠は二人だけで教会に入って、時間を忘れて演技の練習をしたんだ。

私たちが通ってた幼稚園はカトリック系の幼稚園だったから、教会が併設されてたの。

まっ、練習って言っても、ほとんど私が口うるさく言ってて、那徠はそれに従ってただけなんだけど。


「そっか」

那徠は一瞬私を見てから、また窓の外を見た。


それからしばらく、風の音と、観覧車の動く音だけが鳴っていた。