僕の父親は国土交通省に勤めている。

日本の国道の中で道路整備が必要であると査定された場所をリストアップし、その予算とスケジュールを立てる仕事をしているらしい。

それがどれだけ偉いことなのか僕にはまったくわからないが、その仕事に就けることは偉大であり、この家の中で父親は絶対であると小さい頃から「教育」されてきた。

偉大とはなにか、それは教えてもらっていないので知らないが 「父親は偉大」ということは覚えた。


真っ黒なコーヒーを飲みながら英字新聞を読むその父親が呟いた。


「どいつもこいつも、、、馬鹿ばっかりだな」


これがこの人の口癖。

この人の言葉に嘘がなければ、僕の父親は日本で一番頭がいいらしい。


まぁ、それも僕にはどうでもいいことで、


少なくとも、明日のオムレツの焦げ具合の方が僕には大事なことなのだ。