哀歌 <短>




だって、悠真のいない、この1年の日々の中、私は何度か

悠真がいるはずのポジションを、他の誰かに譲り渡したことだってある。


手も繋いだし、キスだってした。


だって、もう悠真がいないことを、ちゃんとわかっているから。



ほらね?

やっぱり、全然引きずってなんかない。


ちゃんと前に進んでいるのに、どうして慰められなきゃいけないのか、私にはわからない。



自分の顔立ちが、一般的にウケがいいことは、十数年生きてきた間に、十分認識していた。


そのおかげで、色恋に特別な興味がある方でもなかったけれど、

好色な目をした男達を惹き付けるには、事欠かさなかった。



もちろん、悠真と付き合っている時であっても、それは変わらなかった。


だって、悠真と私のことを知る人は、ごく少数だったし、

なんといっても、周囲から見て、どう見ても私達は、釣り合わなかった。



その理由は、実に単純なもので、さすがマンモス高校らしく、

同じ学校の生徒と一言で言っても、ピンからキリまでいる。


そして、その差は、普通よりも多分幅広い。


私と悠真は、まさしくそのピンとキリの、端っこ同士にいた。



私は、優等生。

悠真は、どこを取っても、完全な劣等生。


私達は、決して交わることのない、一番遠い存在だった。



出逢うはずがなかったのだ。

二人を繋ぐ接点など、少したりとも見当たらないはずだったのに――