わたしの名前は…






「…ママは好き?」



私はカナムの質問に、
ヒトシの眼を見て答えた…



「うん。
カナムの次に、
世界で1番好きな、
カナムの次に、好き。」

ヒトシはただ微笑んだ…



「なら、僕も
ママの次に好きになる…」



カナムは、
苦手な、若い、知らない男に、
まるで男の対決を挑むかのような眼で
ヒトシに向かってそう言った。



「いい眼だ。
さすがサキの世界一愛する男だ。
行くぞ。
俺達、男の見せ時だ!」




ヒトシは、
避けるカナムに何の迷いもなく肩に手を掛け、
車へと導いた―――。



その2人の後ろ姿は、
それぞれに
何かと戦いに向かうように強く、
何かを語っていた…




大丈夫…

2人がいてくれたら、
ちゃんとさよならできる―――

そう思えた…