わたしの名前は…



“自分”を守るため、

私はヒトシの言葉を笑い飛ばし、
怒ったフリをした―――


「最低!
ろくに話もしてないのに好きなんて簡単に…
はい、靴。
返して、私のも。
もう帰るっ。」





フリ…

ヒトシを好きになりそうな自分から逃げるために…

ヒトシの言ったことが
うれしいくせに…

そんなヒトシとのキスを、ずっとしていたいくせに…


素直になれない…。




私は
ヒトシから逃げるように、
家に帰った―――





(何だコレ?
なんかヤバくない???)

自分がヒトシを好きだというキモチを、
認めたくなかった。

眠るカナムに語る私…



「いらないよねぇ?
パパいらないよねぇ?
カナム…」

「イヤだ…ママ…」

「えっ??!」

…寝言だった。

また置いて行かれる夢でもみてるのだろう…

「ごめんね…カナム…
もう、置いてかないから。
ママもう、やめるから…
もうずっと…
ママと2人だからね――」



本当にもう、おしまい。



男なんかいらない。

好きになんかならない…

裏切りや、守れない嘘は、もういらない…


私はカナムがいての私…


男になんか、落ちてる時間はない…

落ちない…

絶対に…



どうせ嘘だ…

大口開けて笑う女なんか、好きになる男なんかそうそういない…

気に入られようと嘘ついたに決まってる…

男なんて
大抵口ばっかりじゃん!

騙されてたまるか!

どうせあいつも
バツイチ・子持ちでひるんで逃げるに決まってる。



ナシ・なし・無し…

信じたらバカをみる…

面倒から…

悲しみから…

必死に逃げようとした…



私は、
自分が思っている以上に臆病者―――

過去の傷から逃げているだけの、

臆病者―――