「とにかく産むから。
もう殺したくない…」
コウキが何を言いたいか、気付かないフリをして
触れなかった。
堕ろせと言われるのが怖かったから―――
「まぁ、分かった。
けど、やっぱ親は納得させるのが条件な。」
何の条件?
コウキは自分が堕ろせと言うのだけを避けている…
何で?
親に怒られるのが怖い?
それとも、
私との子じゃ嫌?…なの?
たくさんの言葉を飲み込んだ
「解った…
解んないけど、解った…
もう寝るね、オヤスミ…」
「ああ…
オヤスミ…」
ねぇ、コウキ…
愛してる…は?―――
いつも電話の終わりは
コウキ言ってくれるじゃん…
いつもみたいに
嘘でも言ってほしかった…
「Jr.…
あなたはママが絶対に守るから…」
また、妙に静かな部屋…
なのに、
何も聞こえないほど、
私はどこか別の空間にいるような
そんな感覚だった―――
ただ一人の理解者であってほしいコウキの想像外の言動…
涙がゆっくり顔をつたう…
頼るものはない…
信じるものはない…
私しか
この子を守れない―――
この子には
私しかいない―――
この子は
私の中で生きている―――
まだ、
きっとタマゴの細胞分裂中たまたま気付かれた受精卵…
それでも私には、
一人の人だった
愛しくて、
かわいくて、
大切な大切な、
私の子だった―――


