恐かったんだ。
「だって、
こどもできないかもってコウキ知ったら…」
あんなにJr.を産ませたかったコウキが知ったら…
「そしたら、コウキ、
私のこといらなくなっちゃうじゃん!」
こどもつくれない女なんていらないって…
捨てられたくない…
そう思われたらって、
恐かったんだもん―――
「サキ!
お前、
オレを馬鹿にしてんのか?!
オレがどんな思いで…」
ドンッ―――
コウキはそう言いかけて
突然壁を殴った。
「ごめん…
違うな…
オレが言えなくしたんだよな…」
うつむくコウキの左手には
血がにじんでいた…
「でもよぉ、サキ…
オレは、
お前との子じゃなきゃいらねぇよ。
それだけは信じて…」
結果はどうあれ、
私を浮気で疑ったときも
私が不妊症になるかもと、病院受診をすすめたね…
それは事実…
信じたい…
「一緒に治して、
お前が卒業したらコウキJr.産もうな!」
そう言って、
コウキは顔をあげた。
その瞳は、
私の好きな、
計算してものが言えない
コウキの眼、だった。


