秋の空が明るく暮れる夕方。一人の女の子が産まれた。まだその子は自分が重い荷物を背負って生きて行かなければいけない事など気付いていなかった。



幼い頃の記憶は殆ど無くて数枚の写真しか残っていない。


写真の中のアタシは真っ白いスーツに真っ赤なシャツを着た父親に抱かれている。



一番古い記憶といえば二つ違いの弟が病気で貧弱にベッドに横たわる姿を眺めている。その傍らで祖母や母がアタシを見てはいけない!と目隠しをしている記憶だ。



幸い弟は元気に生活している。たぶんその当時はかなり病弱だったのだろう。