やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】





その日の夕方。



屋敷の玄関で執事と熊さんを見送る私。



「楽しんで来てくださいね。」



私は、執事と熊さんに言った。



「はい。小夜さんも、問題児達をお願いしますね。」



執事が、少し心配そうに屋敷の奥を見た。



私の執事の視線の先を見ると、そこには、廊下の先の曲がり角に顔だけ出して、羨ましそうに睨んでいる、真木ヒナタと組長の姿があった。



「・・・・頑張ります。」



私は、苦笑いを浮かべながら答えた。



「小夜・・・・おみやげ・・・・・かってくる・・・・・待ってて。」



熊さんが、笑顔で私を見た。



その熊さんの手には、タッパが握られていた。



「く、熊さん・・・その手に持っているタッパは何?」



恐る恐る、尋ねる私。