「?」
私は、執事の微笑みの意味がわからずに、不思議そうな顔で執事を見つめる。
「・・・別に悪意があるわけではないんですよ、あの呼び方には。」
何かを思い出している表情を浮かべながら答える執事。
「そう・・・なんですか?」
くそ餓鬼という呼び方は、どう考えても悪意が含まれているものとしか思えない私は、納得できない表情になる。
「・・・最初から私のことをくそ餓鬼と呼んでいたわけではないんですよ。・・・元々、加藤刑事は、大和の母親の知り合いで。・・・それで、私も面識ができたんですが、ある日、大和の母親が冗談で加藤刑事の目の前で私の頬にキスをして、私の大事な男の子なのと言ったんですよ。・・・大和の母親にしたら、冗談のつもりだったんでしょうけど、運悪く加藤刑事は、大和の母親に惚れていたので・・・。」
「・・・それで、龍一さんのことをくそ餓鬼と?」
「はい。それ以来、くそ餓鬼と呼ばれるようになりました。」
苦笑いを浮かべながら答える執事。
「・・・それ以来って・・・結構、昔からずっとですよね?」
「・・・そうですね。かなり昔からずっとですね。」
「・・・ちょっとしつこくないですか?」
私の言葉にさらに苦笑いを浮かべる執事。
「ハハハッ、確かに少ししつこいかもしれませんが、刑事というものしつこい気性の方が向いていると思いませんか?」
「・・・そうですね。」
私は、うまい執事のまとめ方に微笑みながら答えた。


