「・・・・た、立てこもりですか?」
「ああ、それで要求を突きつけてきてな・・・それが飲めないと取調室を出ないって言うんだ。」
「・・・要求とは?」
執事が真剣な表情で加藤刑事を見る。
「・・・・木村屋の牛丼が食べたいらしい。」
真剣な表情で答える加藤刑事。
「・・・・・はい?」
聞き返す執事。
「・・・・出前とってやったんだけどな、坂本屋のラーメンをとってやったんだ。そしたら、そのラーメンを全部食べた後で、俺は、木村屋の牛丼が食べたかったんだって暴れ始めて。そして、結局、その部屋にいた全員を外に投げ出して、中に立てこもっちまったんだ。」
「・・・・・・・。」
執事は、無言のまま、両手のコブシを握りしめ、ゆっくりと取調室の方へと歩いていこうとする。
「どうしたんだ、クソ餓鬼?」
「いえ、ちょっと、大和の教育をしなおそうかと思いまして。」
不気味な笑顔で笑う執事。
私と加藤刑事は、その笑顔を見て寒気を覚えた。
「ちょ、ちょっと待てよ、クソ餓鬼。ドアが開かないから、中に入れないぞ?」
「そんな物、けり壊せますから、心配無用です。」
「いや、警察署は、税金で建てられているから、ドアをけり壊されたら、大問題になるんだよ。」
焦った様子で執事を止める加藤刑事。