「軽すぎ!」



私は、思わず、いつもの調子で突っ込んでしまった。



私の声が、銀行内に響く。



銀行強盗は、私の方を向いた。



サブは、声の出た私を銀行強盗の視線に入らないように背中に完全に隠れるように動く。



「・・・・・・誰かお腹でも空いたの?」



ミチと呼ばれた銀行強盗が、私達の方に声を掛けた。



その声に全員が、首を横に振る。



「そう。だったら、大丈夫だね。あっ、そうだ。トイレに行きたくなったら、漏れたら大変だから、前もって言ってね。」



場違いな言葉を続けて言ったミチ。



私達は、どこか気が抜けるような気分を味わう。



ミチは、その後でお爺さんを見た。



「お爺さんは、いくら必要なの?」



「1,000万円ですのじゃ。」



お爺さんが、ミチに答える。



「お兄ちゃん、このお爺さんが、1,000万円必要なんだって!」



再び、もう一人の銀行強盗に声を掛けるミチ。



「・・・・・そうなの?わかった。おい、あともう1,000万円入れろ!!」



再び、私達の予想とは違い、簡単にお爺さんの要求を受け入れる銀行強盗。



支店長に命令した。



「・・・・・なんか・・・・いい人っぽくないですか?」



私は、小声でサブに話しかける。



サブは、背中から聞こえる私の声にうなずく。