「あ、ありがとう…」


「じゃ……戸締り気を付けろよ?」


「うん」


「じゃぁ……明日」


「うん……」



俺が歩きだすと


――クィッ


ブレザーの袖が引っ張られた


振り替えると俯き気味な美央が掴んでいた。


「どした?」


俺が声をかけると
ハッとしたようにパッと放すと


「あ、えと―…ごめん」


潤んだ目で見てくる

無意識だろうが上目遣いになっている



「……っ」



抱きしめたくな……

抱き締めてしまった


「あの…ね…?」



「ん?」


「家…一人だから…ね」


「…」


「怖くて……それで」


「………。」


「とッ……泊まって……?」


ま、待て…
潤んだ上目遣いって

しかもそれで泊まって
とか……


俺もオトコなんですけど



「……ダメ?」


だ……ダメ…


「んなわけねぇじゃん…」


我慢できんのかよ…俺!



「ありがとう…!」