「今日だけしか、言わないよ」


「・・・え?」



さっきまで、そっぽを向いていた王子は、振り返った。






「大好きだよ、今日子ちゃん」






そう言って、そっと私の口を塞いだ。

どうしたらいいですか?
このあふれ出てきた涙は、どうすればいいんですか?




「お、王子ぃぃぃぃぃ!!」


「それ、ヤダ」




抱きつこうとすると、王子は、私の額を抑えた。




「『王子』って呼ばれるの、僕嫌いなんだよね」


「だ、だって・・・。つか、せっかくの感動シーンなのに、なんで防ぐんですか」


「あのね、いい加減『シュン』とか呼べない?・・・あ、でもさっき言ってたか」




そう言えば、高校に入ってから私『王子』としか言ってなかったっけ?