朝、学校へ行くと藍はもう来ていた。
何人かの男子に囲まれ、教室の隅で談笑している。
あたしに気付くと、微笑んで口パクでおはよ、と言った。
淡い微笑みを返すと、また話に戻っていった。
……なんか不思議。
ついこないだまで、嫌いだったのに。
…嫌いってゆーか、むかついたってゆーか……。
最初は、あたし、藍が……
「六花ちゃん」
「汐、おはよぉ。」
寝坊するかも、と言っていただけあって、長い天然パーマの髪が乱れている。
「よく間に合ったね、偉い偉い。」
汐の頭を撫でながら髪を直してやる。
ふと顔を上げると、藍たちの集団がこっちを見ていることに気づいた。
……?
あたしが見ていることに気づいた藍は、何でもないよ、というふうに手を振ってみんなの視線を逸らさせた。
とりあえず微笑んで頷いといた。