「…て、…待って!!」


思わず叫んだ。

俯いてスカートをにぎりしめる。

でないと、震える手が結城にばれてしまいそうで。



結城が動きを止めたのが分かった。




「ね、…交換条件、て、やっぱやめよ…。言ってもいいから、あのこと。」


だから…、と震える声で言う。









「なんで逃げるんだよ。」









恥ずかしくなった。


結城の顔を見れない。

情けない。



手をぐっと強く握る。


「……っ、しょうがないじゃん…!何も知らないくせにっ!!」



「…知らないよ。でも、」



一旦言葉をきるから、思わず顔を上げた。





「楠じゃなきゃダメなんだよ。」