階段へ向かいながらじっくりと塔の中を見渡す。


単純に物置のようになっているみたいだ。


誰も踏み込んでいない印に、空気は滞っている。

結城は何度も来ているのか、ずんずん進む。


手すりには、ホコリがなかった。


それでも頻繁に、たくさんの人に使われている様子はなかった。


…やっぱ、立入禁止なんじゃ……。


冷や汗をかいた。



元々あらゆるところに施されている装飾を見ると、これまたアンティークっぽい。


きっと、洋館みたいだったのかも。


「……て、なんでこんなものが学校の敷地に…。」




謎が多すぎて、ついひとりごとを言ってしまった。



結城には聞こえてなかったらしく、振り向かない。


ひたすら階段を上る。




…………。




「……まだ?」


痺れを切らして聞いた。

何段踏めば目的の階に着くのか。



「もうすぐ。四階だから。」



淡い光に小さな微笑みを浮かべて言った。