いきなり目の前で頭を下げられてびっくりした。


周りも何事かとあたしたち二人を見る。


「結城くん、ちょっと」


その視線に耐え兼ねて、謝る結城の手を引っ張って連れていく。


眉間のしわがそろそろ消えなくなりそうだ。




廊下に出ると、一時間目の前だからか、もう人はほとんどいなかった。



にぎやかな教室から数メートル離れるだけで、別空間のような静けさに包まれる。


クラスメートの笑い声を遠くに聞きながら結城に目で何?と問い掛ける。




「いや、あの、終業式の日。失礼なこと言っちゃったから、怒ってるのかと…」




情けなく眉を八の字にして言う。




「…別に、怒ってない、あんなことで」



小学生じゃあるまいし、とわざとぞんざいに言い捨てる。



「……楠、キャラ違わない?そんなだっけ?」