家のドアを乱暴に開けると、閉めることもせずローファーを脱ぎ捨て走ってきた勢いで階段を上る。
「六花!?」
ママが驚いてリビングから顔を出したのが分かった。
でもあたしは構うことなく階段を勢いのまま駆け上がる。
部屋に駆け込むと、激しい音をたてて後ろ手にドアを閉める。
そのままドアにもたれかかる。
小さく、細く、息を吐き出しながら、壁づたいにずるずると座り込む。
冷たさなんて感じない。
きつく目を閉じて唇をかみしめる。
自分の体を抱きしめて、誰にも見付からないように小さくなる。
誰に見られるわけでもないのに。
ただただ隠れたかった。
世界中の何からも見えないように。