視界の端に白いものがちらついた。
見てはダメだ、と思っても、体が言うことをきかない。
反対に目が窓の外に釘付けになってしまう。
ドクン、と心臓がとびはねる。
固まったあたしを怪訝そうに結城が見つめる。
「楠?どうした?」
何も答えられない。
頭が、体全部が、機能することを忘れたように動かない。
考えられない。
そして誰かが気づいた。
「あ!雪だぁ!」
雪がふわふわと漂っている。
クラスのみんなは喜んで一斉に窓に張り付く。
結城は、窓の方を一瞬だけ見て、またあたしに問いかける。
そして、またあたしの手を掴んだ。