「あたし、やっぱり調子悪いから早退するね。トイレじゃないから安心して?」
皮肉をこめて、にっこりと今できる限りの笑顔で言ってのけたつもりだ。
それでもこいつは気づくことなく、心配げな言葉をかけてくるが、前の席の友達はやらかしたなとでも言うようにうなだれていた。
もう付き合い切れなくなって何も言わずに踵を返すと。
「あっ、ちょっと待って!」
またもや結城に止められた。
……しつこい。
無視しようとすると、手を掴まれた。
その感じにはっとなる。
そして反射的にその手を振り払ってしまった。
あたしの拒絶に、結城は少し驚いたようだ。
あたしも知らない、奥深いところで、この感触に覚えがある。
違和感を感じて、ふと顔をあげたとき。