あたしは必死に無心になろうとしていた。


心配していた空の雲行きが怪しいことに、わずかに鼓動が早まり、制服の上から胸に手を当てる。


ここで発作を起こすわけにもいかない。



「…やっぱ休めばよかったかなぁ」



そこまでつぶやいてはっとなる。


せっかくの汐の誕生日に、不安要素を与えたくなくて学校に来たのに。


そんな自分が恥ずかしくていらだたしくて。



またため息をついてしまう。


それを聞いてまた結城がちらりと見てくるけど、気づかないフリをしてやり過ごす。