あたしはと言えば。
すっかり冷めたミルクティーと食べかけのチーズケーキを前に、イスの背もたれにもたれにもたれ、ぼーっとしていた。
忘れてることなんて知ってる。
ものすごく思い出したいとも思ってる。
自分が一番分かってる。
なんなんだ、あのチャラ男。
分かってる分かってる分かってる。
あそこまで発破かけるんなら全部言えよ。
一番悔しいのはあたしなんだ。
もどかしさを感じてるのはあたし。
結局、あたし以外の人は全部分かってて、あたしだけ一人なんにも知らない。
ううん、忘れてるんだ。
だからって思い出そうと思ったからって、そんなすぐには湧かない。
そりゃそうだ。
「…っもー!どーすりゃいいのよ…!!」
人目を気にせず涙目になりながら叫んで突っ伏す。
視線が突き刺さっているのが分かるけど、今はどーでもいい。