その言葉に背筋が凍った。
実の親に、幼い頃だけとはいえ、育った家にさえ上げてもらえないなんて。
あたしが言葉につまっていると、星羅くんが続けて話す。
「その頃俺はまだ高校生だったけど、大学受験に専念するっていう口実のもとに、藍の世話をするって条件つけてなんとか居場所聞き出して今、隣に一人暮らししてるってわけ」
お分かり?と上から目線で問いかける彼にやっぱりイラッとする。
「……星羅くんて、藍のこと大好きなんですね」
皮肉をこめてそう言うと、予想外に顔をほころばせた。
「さっきも言ったけど、なんだかほっとけなくて、弟や息子のように思ってるから。ここまできたら、あいつにちゃんと育ってほしい」
できた人だ、と思った。
まだ学生なのに、人をこんなにも思いやり、行動することができる。
……あたしとは大違いだ。
「ま、六花ちゃんには負けるけど」
「…は……っ!?」
にやりとした彼の笑顔にしまった、と思ったが、時すでに遅し。

