何から聞いたらいいのか思案しているうちに、あっという間にミルクティーとケーキが運ばれてきてしまった。
少しためらったが、杉崎さんに目でうながされてそのチーズケーキに手を伸ばした。
「おいし…」
思わず出た言葉に、はっとして杉崎さんを見ると、満足そうな笑みを浮かべていた。
なんだか気恥ずかしくなって、視線をそらしたまま口を開く。
「あの、杉崎さ…」
「ストップ」
長い人差し指を、それこそ唇に触れそうなくらいまで突き出してきたので、あたしは驚いて後ろに反らした。
「その"杉崎さん"てのやめない?」
「はい?」
何事かと思えば、そんなことだった。
「…じゃあどうしたらいいんですか?」
つくづくめんどくさい男だ。
話が一歩も進まない。

