俺達、似てるね、とこぼした藍に曖昧に頷くことしかできなかった。
今も藍はお父さんに背中を向けられてるのに、彼は笑う。
あたしはそんなことできなかった。
自分だけが傷付いたフリして周りのことなんて考えなかった。
あなたはあたしよりずっとずっと強かった。
「俺が香奈子さんに電話でそのことを話したら、こっちに来たらどうかって言ってくれたんだ」
「え…そうなの?」
また驚きの事実。
うちの親はなんで教えてくれなかったんだ。
「でもさすがにそこまで甘えられないし、……それどころじゃないって分かってたから」
苦笑してそう言った藍を見て、思いあたった。
アオのことだ。
そんな時期だったのか。
「なんか…お互い大変だったんだね」
あたしは大真面目に言ったのに。
「……ぶっ、ははっ…!」
隣を振り返れば腹を抱えて藍が笑っていた。

