「だから俺は最初から二人に“間宮”藍ですって名乗ってた」 でも 藍の瞳に暗い光が宿った。 「演奏旅行から帰ってきて、びっくりだよ。戸籍はそのまま、この部屋を俺に与えて自分は外国へ」 その言葉に何も言えなかった。 だってそれって。 「……親父は俺が心配だったんじゃない。ただ、……ただ自分の保身のためで」 俺を愛してたわけじゃなかったんだ。 子供にこんな顔させてまで大人はどうして『世間体』なんてものを大事にするんだろう。 話を聞いていて初めて怒りを覚えた。