「さっきは、…ごめん」
あたしが口をつぐんだままいると、不意に藍が言った。
「ひどいこと言った」
頭を下げるように俯いて話す藍を見て、さっきの出来事をようやく思い出した。
「い、いいよ、あたしが悪いんだし…」
「ちがうんだ」
少し大きな声で、はっきりと藍が言った。
「ちがうんだ、俺がなんにも言わないから信じられないのは仕方ないのに」
「……藍」
「六花のせいにして。えらそうなこと言ってたけど、俺が一番逃げてるんだ」
「藍」
「俺は怖いからって」
「らんっ!!」
静寂が漂う。
あたしが声を荒げたのは、見ていられなかったから。
「……藍」
俯く藍の頬にそっと手を伸ばした。
振り払われるのが怖くなって少し戸惑ったけど。

