「ついて来てほしいとこがあるんだ」


「…え?」



その言葉にふと顔をあげれば、藍はすでにあたしに背を向けて歩き出していた。



「あ、ま、待ってっ」






焦ったあたしが小走りに藍に駆け寄ると、さりげなくあたしの荷物を持ってくれた。



「あ、りがと…」



「…ん」




気まずくてもそっけなくても、藍の優しさは変わらない。




こういうとき、この想いを口にできる資格はあたしにはないって分かってても。






無償に君が愛しくなるんだ。