そのまま黙って腰を下ろした。


その様子を見ておかしいと感じたのか、今度はママが口を開いた。



「あらやだ、六花。もしかして…覚えてないの?」


口元に手を当て、目を真ん丸にして驚いているようだ。




覚えてない?




その口ぶりからすると、過去のあたしは何か知っていたらしい。


あら?と言いながら藍とあたしを見比べる。

あたしはきょとんとしたままだ。


「じゃあどうして…。」


知り合ったのか、と聞きたいらしい。



どうしたもこうしたも。

「だからただの隣の…。」



ただの隣の席。

そんなやつがうちの両親のこと知ってるかとか思ったけど、あたしには接点がそこしか思い浮かばないからしょうがない。




「僕が」



あたしの言葉を遮って藍が強い口調で言った。




「僕が見つけたんです。」