「アオ…、蒼のこと、なんだけど。」
パパとママの顔が強張ったのが空気で分かった。
あたしも言葉が中々出てこなくて、うつむいて喋る。
「ずっと、自分のせいだと思ってた。」
それで、二人にはたくさん迷惑をかけた。
食べることを体が拒絶していた。
生理も止まった。
過呼吸の度に慌てさせて、八つ当たりしても怒らずに逆に謝らせてしまった。
カーテンを締め切った部屋に閉じこもって毛布を頭からかぶってた。
「甘えてたんだって今なら分かる。二人の優しさに。」
ママが涙を拭うように指先を目尻に添えたのを視界の端につかまえて、あたしは顔をあげる。
「もう大丈夫。あたしは、もう平気だから。」
伝えたいことはたくさんある。
伝えなきゃいけないんだ。
でも、あたしはドラマみたいにかっこよく心境の変化なんか話せないし。
何より恥ずかしい。
だから、これだけが言いたい。
あとはこれからあたしの一生をかけて返していくから。

