「やっぱり!3年で随分大人っぽくなっちゃって。全然分からなかったわ、ごめんなさいね。」
「いえ、あれから一度もあいさつに伺ってなかったんで…こちらこそ、すみません。」
柔らかな微笑みを浮かべ応対する藍になんだか慣れてなくて、違和感を感じる。
「そうか、苗字が間宮(まみや)から変わったんだったな。」
だから最初は分からなかったね、と二人は懐かしげに話す。
知り合いだったのだろうか。
それならそうと言ってくれたらいいのに。
でも、苗字が変わったって……。
それに『3年』という、あたしにとっても重大なキーワード。
簡単に聞いちゃいけない気がしてあたしは口をつぐんだままだった。
「あのあと、どうしたんだ?」
パパが眉間にしわを寄せて聞くと、藍は少し困ったように笑みを浮かべた。
「それはまた、後でもかまいませんか。今日は六花さんの話を聞いてほしくて。」
この流れであたしが話すの!?
ちょっと無理に方向転換させすぎじゃ…。
あたしだっていろいろ聞きたいと思ってるのに。
全然話が見えてないのに。
「六花。」
分かってる、というふうに藍が優しく呼ぶから、あたしは口を開いた。

