「藍です。結城、藍です。」 パパはその名前を何度か小さく繰り返す。 ママもなんだか考えこんでいるようだ。 なんだろ、なんかあたしだけ遅れてる気がする。 ねぇ、と疑問をぶつけようとしたとき、藍が先に口を開いた。 「晃(あきら)さん、香奈子(かなこ)さん、……お久しぶりです。」 驚いて声も出なかった。 藍が口にしたのはパパとママの名前。 どうして、知ってるの? そんなあたしをよそに、パパとママは合点がいったように顔を輝かせた。