「紅茶でいいかしら?」
「あ、どうぞおかまいなくー。」
笑顔でお決まりの光景を繰り広げる二人。
藍はちゃっかりリビングのソファーに座り込んでいる。
ママがお茶の用意をしているスキにあたしもそちらへ言って隣に座ってママに聞こえないように小声で話す。
「なんでいるのよっ!」
「だから応援だって言ってんじゃん。」
またもしれっと返される。
「六花がまた直前で尻込みしたときのために、助っ人だって。」
またこいつは笑顔で訳分かんないことを言うんだ。
「ちょっと無理が…。」
「ない。」
そうですか。
そんなことよりも。
「なんでそんなに執着するのよ…親に。」
聞くのはもっと後でもいいと思ってた。
でも、あたしもなんかちょっと仕返ししたくなったから。
何も考えてないわけないって、思い知ってほしかった。
ふっと、小さく笑いをこぼして藍は言った。
「六花に後悔してほしくないだけだよ。」
それは『笑ってる』んじゃなくて。
『泣きそう』なんだって、知ってる?

