あたしはそのまま東の塔へ向かった。
どーせ後はSHRしたら終わりだし、一人いなくたって気にしないでしょ。
気づかれたって、汐か藍がなんとか上手く言ってくれるだろうし。
螺旋階段を上りながら鼻歌を歌う。
アオが作ってくれた曲。
あたしの曲。
なぜ、藍がこれを知っていたのか未だに分からない。
何度聞いてもはぐらかされてしまう。
藍は、まだまだたくさん、隠し事をしている。
それはずっと前から分かってた。
でも、それでもいいと思ったんだ。
言いたいときに、言ってくれれば。
あたしもそうだったし、だからって藍を嫌いになったり疑ったりしない。
前、知りたいって言ったのは、本当。
でも言いたくないならそれでいい。
そばにいるというが事実があれば。
不思議なんだ。
なんでこんなに藍を信じられるのか。
何も知らない、君が。
いつか分かるかな?
きっと何かあるんだって、信じてる。
「じゃなきゃ、不思議なことだらけで頭おかしくなりそ。」
電気をつけなくてもまだ明るい。
そのままピアノに歩み寄る。

