学校に着いて時間を確認すると、遅刻するにはまだそうとう時間があった。
遅れると思って急ぎすぎたみたいだ。
あたしは朝ごはんを食べるために、そのまま教室には向かわず、中庭に面する廊下にある階段に腰かける。
外は寒いけど、それよりも人がいるところには極力いたくない。
そうしてまた無意識に眉間にしわを寄せると、即席サンドイッチにかじりつく。
すると、不意に賑やかな声が聞こえてきた。
身をすくめ、耳をすますとあたしと同じクラスの男子たちだと分かった。
協調性のかけらもないあたしは、未だにクラスメートの顔も名前もうろ覚えだが、ひとつだけ、聞き覚えのある声があったから分かった。
この声だけ、印象に残っていた。
ここからは死角になっている場所を、朝の憩いの場にするらしい。
声はそのまま遠ざかりも近づきもしなかった。
気まずいとは思ったが、それはあたしだけで、動かなければ気付かれないと思い直してそのまま朝ごはんを食べつづける。

