外はまだ夜が明け切らず、雲は厚い。


空を見上げてまた顔をしかめながら、白い息をはく。



思い出したくないことが沸き上がりそうになるのを、目をぎゅっときつくつむって防ごうとする。



記憶の底に押し殺していたものが、フタを破って溢れ出そうで、歩き出すのもつらい。


それでも時間がないからと、無理矢理苦しさを押し込めて学校を目指して歩きだす。


目の前を覆う自分の白い息が、丸ごとあたしを飲み込むんじゃないかと怖くなって、あたしはマフラーを目の下まで引き上げた。


こんなことにさえ苦しむ自分が嫌い。

あたしはあの時から、自分が欠陥品としか思えない。

なんて、それでも生きることしか選べない自分が、やっぱり、嫌い。