方向も何も分かるものはなかったけど、手探りで進んでいった。
何度も転んで、その度にやめようかと思った。
でも、ずっと留まっていると、この暗闇に押し潰されそうで怖かったから進むしかなかった。
転ぶこともなくなっていつの間にか歩数を数えだして、それが4桁に到達したとき。
今まで呆れるほど何もなかったこの空間に、不意に、頬を風が撫でた。
驚いて立ち止まる。
…ざぁ――……っ、…!
そよ風だと思って顔を上げた瞬間、目も開けていられないような突風が襲ってあたしをよろめかせた。
なんとか踏み止まって、腕をかざして目をかばう。
断続的に襲う突風は、いつ止むのか予想もできない。
そろそろ体力の限界かも……。
そう思い始めたとき、風が吹くたびに何か、紙のようなものが体をかすめていくのに気づいた。
また不意に、風が弱まった。
恐る恐る目を開けると……。

