涙が止まらないアユミの頭を……優しく撫でてくれた


髪を透る指が気持ち良くて、呼吸が落ち着いてくる





「アユミ……これから言う事、しっかり受け止めて欲しいの」










嫌な予感がした―――




離婚以上に嫌な予感。



これ以上突き落とさないで…―







アユミ……まだ知らなきゃいけない事があるの?







アンちゃんはグッと指に力を込めた


心なしか……震えてる気がした…――











「お父さんとお母さん、どっちに就くか決めるんだよ。

アユミのお兄ちゃんは……
まこちゃんはお母さんが引き取る事になってるから…―」








アンちゃんの声が耳の奥に響く


呪文の様に何度も……何度も…―









お兄ちゃんはお母さんが引き取る…?




なんで決まってるの?



ねぇ、アユミは?



お母さん……アユミの事は引き取るって言ってくれないの?











頭の中が真っ白とはこの事だと思った





アンちゃんの背中から力なく腕が落ち、立っていられない程の脱力感が襲い掛かる