紅雨が出て行った部屋に、空気のように小さな私の声が響いた。 「…そうね。」 夜琉が、私の頭をポンポンしてくれた。 「紅雨は鋭いでしょ?」 「ええ。」 「俺も前言われた、いい加減前むいたら?って。」 「璃玖も?」 「うん。紅雨は凄いよ。」 「なんで?」 「自分から一歩踏み出した。俺には、そんな勇気ないのに。」 「…。」 「んじゃあ、俺も帰るね。お休み。」 「お休みなさい。」