私は夜琉の所に歩いていく。夜琉もそんな私に気づくとソファーから立ち上がりこっちに向かってきて、夜琉の手に私が届くと
「由莉。」
と、甘く小さな優しい声が広間に響く。そのまま私の手を引きソファーの前に来ると
「座れ。」
あごでソファーを指す。
「夜琉はどうすんの?」
「いいから。」
と言って半ば強引に私を座らせた。ほとんどの下っ端が目を見開く。
夜琉は肘掛けに軽く腰掛けると私の髪をいじりだした。
くるくるしたり、軽く引っ張ったり、私の心臓は出てくるんじゃないかと思う程ドキドキしていた。
「由莉、挨拶しろよ。」
弘樹が私にだけ聞こえるような声で言う。

