先生……

あたしを…見つけてくれた。

ドクンッ

「山本、さん?
どうしたの?」

「え?」

ふと先生の親指があたしの頬に触れたかと思うと、そのまま目尻まで移動した。

「泣いて、ますよ。」

「え、うそ。」

ツーっと頬を何かが流れているようなかんじがした。

あたし、知らないうちに泣いてたんだ。

「ほんと、だ。」

あぁ、じゃあさっきの先生の行動はあたしの涙を拭ってくれてたんだ。

そう思うと一気に恥ずかしさが込み上げて、顔が熱くなるのを感じた。

「どうぞ。」

「ありがとうございます。」

手渡されたハンカチはきれいに折り畳まれていて、きっちりとアイロンが掛けてあった。

嬉しいはずなのにズキズキと胸が痛んだ。

「あの、洗濯して返しますね。」

「え?や、気を遣わなくても…。」

「だめですか?」

涙を拭いたハンカチをそのまま返すのは気が引ける。