「そうですか。お母さんが帰ってくるのは、いつ頃ですか?」

「え?えぇと。」

そう言えば、お母さんはいつも何時に帰ってるんだろう。

23時には寝るあたしは、滅多にお母さんに会わない。

お母さんが帰ってくる時間……。

深夜だという事だけしか、あたしは知らないんだ。

この16年間は何だったんだろう。

何も知らないあたし。

あたしと関わろうとしないお母さん。

お母さんと関わろうとしない、あたし。

「わから、ないです。」

「………そうですか。」

ドキッ

先生、呆れた?

めんどくさい生徒だって、思ったかな。

「あ、ココア飲み終わりましたね。
もう一杯飲みます?」

「え?や、大丈夫です。
ありがとうございます。」

先生の入れたココアはすごく美味しかった。

それに、もう少し二人でいたい。

だけど、あたしはこの空気に耐えれない。