すると先生は慌てたように手を話した。

ズキン

「す、すいません。
迷惑でしたよね。」

そんな事ない。

「全然、迷惑なんかじゃなかったです。」

本当だよ。

全然迷惑なんかじゃなかった。

他の人なら絶対に嫌だけど、先生だったから。

その後は少し気まずくて、シャーペンのカリカリという音だけが淋しく音を立てていた。

―――

「ありがとうございました。」

「いえ。これ、今の山本さんなら解けると思います。
少し試してみて下さい。
時間は80分以内で。」

「あ、はい。」

受け取ったそれは、難しそうなプリントだった。

「去年の6月の模試です。
解いたら持ってきて下さい。」

「はい。さようなら。」

「さようなら。」