ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 昼休みが終わる少し前、浦田先生とお喋りを続ける綾を残し、先に保健室を出た。
カサカサとコンビニ袋を鳴らし、進まない足で廊下を蹴った。
その時、不意に肩を叩かれ動けなかった。深呼吸し振り返りると、そこには小首を傾げまっすぐ見てくる柚樹がいた。


「葉瑠?」


名前を呼ばれ、フッと体の力が抜けた。


『あ、柚樹だ』


「どうしたの?」


『ううん』


「そう?それより、今日来なかったけど、何かあった?」


『何もないよ?綾に誘われたから、たまには良いかなって。メールすれば良かったね?』


「うん。緒方さんも心配してたよ?」


『そう』


ありえない。
飲み込んだ言葉を悟られないよう、柚樹から目を逸らした。


「今日の緒方さん変だったんだよ。突然「お前は俺に期待したことあるか?」なんて聞いてきて」


『そうだったんだ。ねえ、私って分かりやすいかな?』


「どうしたの葉瑠まで」