ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 学校を出てから30分。仁の後を追いながら、柚樹と他愛もない事で盛り上がり、意味なく写真を取り合っては笑った。
 日が照り足が重くなってきた頃、公園の奥の草村の前で仁の足が止まった。


『ここ行くの?』


黙って進む仁の後を草を掻き分け進んだ。
 急に前が開け伸び放題だった草が、キレイに舗装された砂利道に変わっていた。


『なんか、怖いね…』


一本道の両端に伸びる木をなぞり、見上げた空がやけに小さく見えた。


「この先に桜の木があるから」


言われるままに付いていくと、風に乗って花びらが飛んできた。
そこから、仁の言っていた場所に着くのはあっという間だった気がする。


「すげぇだろ!」


誇らしげに言う仁の前は、何十年とそこに根を張り続けている桜の樹が、長い枝を四方八方に伸ばし満開の花衣を纏っていた。


「なんか言えよ。」


声にならないほどキレイな景色に、何も言えず、しばらく見入っていた────


「お腹空いた…」


そんな声が耳に入り、やっと桜の木から目を離した。