ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「お願いします!」


『このままで大丈夫です』そう答える前に、柚樹が言った。
驚く私をよそに、メガネをクイッと上げると、ニッコリ笑った。


「なんでお前が決めてんだよ!」


仁の呆れた声と共に、襟足を掴まれた柚樹が静かに消えていった。それを目で追いながら、先生が来るのを待った。


「どうしよっか?キャラクターのとかもあるけど」


『普通のでお願いします』


苦笑いを返すと、眉根をよせつまらなそうな顔をした。
チラリと見えた引き出しの中には、たくさんの絆創膏が並べられてあった。


『それ、先生が全部集めたんですか?』


「見るとつい買っちゃうんだよねぇ…」


『凄いですね』


苦笑しながら覗き見てると、先生の指がひとつの箱に止まった。


「──本当にそれで良かった?」


『はい、でも勿体無いですね』


「使われるのが絆創膏だからねぇ、でも意外だなぁ、だいたいの女の子は否定するんだけど……」


『このライダーが好きなんです!』


「君とは気が合いそうだ。じゃあ、気をつけて!」


保健室の前で浦田先生と別れ歩いてると、柚樹に「女の子なのに、かわいいのじゃないんだね?」と言われた。


『うん、これが良かったから。』


「葉瑠って、変わってるね?」


『でしょ?』


微笑む私とは逆に、どこかつまらなそうな顔をした。